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鳥語 VOL1
第一回のクラスを開いたのは、東京都練馬区の石神井公園。
ラッキィさんと初めてお会いし、TBSラジオ「土曜ワイド」で春の囀り中継をさせていただいた思い出の場所です。
「鳥語インターナショナルスクール」の企画によって、
ラッキィさんは、ここを思い出の場所から未来への出発の場所へと変えてくださいました。
5月の土曜日、午前5時半。公園で詩吟をうなる人もなく、小鳥たちが気持ちよさそうに歌い始めました。
Chirp、  Chirp、  Chirp、
初夏の太陽が刻々と空気を色づかせ、小鳥たちの命をますます元気にしていきます。
大地と生物と空だけが静かに編み上げている夜明けの世界に
私たち人間が、そっと入らせてもらう。
夜明けとはそんな時間かもしれません。
野鳥たちと話すときは、静かに、、でもハッキリとメッセージを伝えます。
私は初めてウグイスと鳴き交わしができたとき、鳥だけに鳥肌が立つほどウグイスを
驚かさないように黙って興奮しました。
スズメ、シジュウカラ、ヒヨドリ、イカル、ジョウビタキなど、人懐こい鳥たちはこちらの口笛や語り欠けに応えてきてくれます。
相手に対してあくまで謙虚に対応な生き物として話しかければ、
彼らは聞いて囀ったり、地鳴きと呼ばれる「普通の声」を返してくれたりします。
ラッキィさんは、最初の中継の時、録音されているのを知っているかのように
鳥たちが次々と現れて囀ってくれたことに感謝しておられました。もちろん
偶然の要素もあるでしょう。
でも、偶然とばかりもいえません。
私たちが心を1つにしてシグナルを送ったことを、彼らはちゃんと知っていたのだと
思います。
「トリゴインター」では、心のざわめきを沈め、耳をすませ、相手の心の声を聞き、
そして私たち自身の「心の視力」を挙げていくヒントをお届けしたいと思っています。まさしく、この学校も飛び立ったばかり。
羽ばたいたり滑空したり、これからどんなフライトになるかは
私たちにも お・た・の・し・み です。^^
Let's  see  how  it  turns  out .
どうなりますか、ご覧あれ。
憩いの優しい会話のひとときを、どうぞお楽しみください。 
VOL 2   井の頭公園^^
今回の「鳥語インターナショナルスクール」は、東京都の井の頭公園で開講しました。
風薫るという季語があります。この日はほぼ無風だったにもかかわらず、空気が素敵に澄んで、花や葉の香りを織り込んでいました。

ギイーン、キョッキョッと、
きつつきのコゲラとアオゲラのおとなしい鳴き声が木漏れ日と一緒にやってきます。
ベンチでお話していると、左後方の林から朗らかな囀りが。キビタキです。
 

フィリー、ピッピリピー、ピッピリピー
Here I come!  All the way from the South!
 

英名は、narcissus flycatcher。水仙ヒタキとでも訳しましょうか。美しい黄色が水仙の花に似ていることからこの名前になったと言われています。
探鳥仲間の間では、キビタキは「自分の美しさを知っている」とささやかれています。ギリシャ神話のナルキッソスのように、彼らも自分の美しさと見事な囀りを自覚していて、実はうっとりしているのではないか、とのもっぱらの評判です。

この日のキビタキ君は、囀りも安定していて貫禄ばっちり。でも、まだ南の国から渡ってきたばかりらしく、囀りのバリエーションは一つだけでした。
これからどんどん上手になって、キビタキ特有の「オーシンツクツク」の歌も出てくることでしょう。

午前七時を過ぎた公園には、犬の散歩やジョギングなど、思い思いの朝を楽しむ人たちがやってきていました。けれど大騒ぎする人はいません。愛犬と一緒に透明な朝の空気を満喫したり、走り込みながら全身に空の香りを取り込んだりと、人々の時間は深く充実しています。静かに通り過ぎるさまざまな足音が、そんな時間の豊かさを伝えてくれます。

太陽がはっきりと現れ、公園には柔らかな光が満ちています。まだ暑さはなく、陽光は温もりとなって私たちの頬に届きます。
小鳥たちにも私たちにも、きょうが良き日となりますように。
そんな祈りを込めて、私たちは次の場所へと向かいました。
 
VOL3 武蔵関公園^^
武蔵関公園のクラスには、西武新宿線の活気あるバックミュージックが付きました。ひょうたん型の池があるため、鳥は、マガモ、カルガモ、カイツブリなどの水鳥、それにシジュウカラ、メジロ、ムクドリなど東京の「ベーシック」な仲間たちが歌っていました。
 池の自然観察では、水音が楽しみの一つです。
                             Splash!!

シャアーッと音を立ててカモたちが水面を滑りながら着水します。ボッチャーンと大きな鯉が跳ねます。カルガモたちが水面の小虫をついばむときに立てる、水を噛むようなピシュピシュピシュという音も聞こえます。
すぐそこの踏切を次々と通過していく西武線の車両は、種類によっていろいろな音をおいていきます。線路がロングレールなので、ガタンゴトン(私の絵本「でんしゃはうたうではタタッツツッツツッ)といった大きな音がせず、シュウン、シュウンとおしとやかに走っていきます。鳥の声を聞くのにも困らないくらいの音量です。
鳥たちも、特に驚くこともなく、電車と一緒に囀っていました。ここは、鉄っちゃん+鳥好きな方には楽しいスポットかもしれません。って、この組み合わせの趣味はなかなかないか?
時刻は午前八時過ぎ。人間たちの活動が活発になってきて、町の営みがいよいよ加速する様相です。一方、鳥たちは早朝の活動を一通り終わったころとなり、のんびりした鳴き声に変わります。

Clack, clack... Here comes the super-express!
なんて鉄っちゃんトークをしているかも。
ただし、ロングレールでは「ガタンゴトン」に当たる"clack"は聞こえません。池の水面で聞く電車の音は、私たちとはまた違った波長で聞こえているかもしれません。日本に渡ってきたカモたちは、「これこれ、この西武線の音を聞くと日本にきたって感じなんだよねえ」と思っていたりして。ここでは、カモも鉄っちゃんモードな気がするのは私の思い入れのせいでしょうか。

ラッキィさんとお話した「真っ白い耳」を、カモたちも持っていることでしょう。みなさんも私たちと一緒に「真っ白い耳」をどんどん鍛え、いろんな言葉を聞き分けていきましょう。
 
VOL4 つばめ
石神井公園の駅に今年も燕たちがやってきた、というツイートを見つけたのは、五月に入ったころだったでしょうか。
私が小さかったころからずっと、この駅には毎年燕たちがきています。駅員さんたちも心得ていて、巣の下に板を付け、落下物を避けてくれています。彼らの元気なツパツパおしゃべりが聞こえると、石神井の町の夏が始まるのです。

燕の英語はswallow。ものを飲み込むという動詞と同じ単語です。語源には諸説ありますが、英語では餌を丸呑みにするからこの名前になったという文章を読んだことがあります。
人と動物が共に暮らすには、いくつか乗り越えなければならないことがあります。
たとえばお互いの距離が適切であること。
燕や雀は人の近くで暮らすことで天敵から護ってもらう「作戦」を取っていますが、だからといって人の手に乗ったり、肩に止まったりするようなペット的な慣れ方はしません。
近くにいるとは、あくまで安全距離を持ったうえでの話です。

もう一つ、昨今鳥と人の間で問題になっているのが、病原菌。鳥インフルエンザの問題は、野鳥ファンにとって避けて通れない難題です。
こんなことから、以前は普通に夏場の友達として受け入れていた燕たちが、大変な思いをして渡ってきた日本の土地で拒絶されるケースが後を絶たなくなりました。

 Did we do something wrong?
「何かいけないことをしちゃったの?」

いつもは朗らかに聞こえる燕たちの鳴き交わしが、時としてこんな悲痛な叫びに聞こえることもあります。
 You are all welcome.  We are all friends on Earth.
「君たちみんな、よく来たね。私たちも君たちも、地球の仲間だよ」

安全距離を保っていれば、人と動物は仲良く暮らせるはず。万物の霊長として、私たちは遠路を旅して懸命に生きている燕たちに、ぜひこんなふうに話しかけてあげたいものだと思います。
燕を見守りながら、「Let's live together in peace」と静かに繰り返してくれた
ラッキィさんの声は、心から優しく彼らに届いたことでしょう。
 
VOL5 新宿中央公園^^

ある年齢から上の方の中には、この「鳥語インター」に登場していない身近な小鳥が気になっている方がおられるのではないでしょうか。
 そうです、スズメです。4回の録音で、実はスズメはほぼ鳴いていませんでした。どの公園も住宅地でしたので、人家の周りにいるはずのスズメがいないということはあり得ないのですが、実際に探してみると、都内の公園ではスズメがいる場所といない場所が、特に近年、はっきり分かれてきたように私には思えます。
 野鳥観察界で、スズメの数が減ったというのはここ10年来のホットトピックです。それにはいくつかの原因が考えられています。巣作りができる隙間のある屋根がなくなってきたこと、カラスが雛を捕食するため巣立てるスズメが少なくなっていることなどなど。石神井公園では、数年ごとにツミという小型の鷲鷹類が営巣するため、その餌となるスズメの数も数年ごとに減ると聞いたことがあります。ごみ収集の徹底などでカラスの数がコントロールされるようになったここ数年、スズメの数も回復してきたという話も聞きますが、こういった地域的な要素もあり、スズメたちは「どこにでもいる」小鳥から「いるところにいる」小鳥に変わりつつあるのかもしれません。
 そこで5回目となった今回は、スズメのいそうな公園をあえて探し、録音を試みました。
 いました、いました。チュンチュン、チュルチュル、ヒユヒユヒユ。みんなで楽しそうにおしゃべり中。桂枝雀師匠によれば、大阪のスズメは「チュンチュラ・チュンチュラ」と「モッチャリした」鳴き方で、東京のスズメは「チュンチュ・チュンチュ」と粋がいいのだそう。本当かな??
 スズメは、スズメ目機織鳥(ハタオリドリ)科という仲間です。機織鳥というくらいですから、巣には色んなものが編みこまれています。小さいころ、髪の毛が風に吹かれたりしてボサボサになると「スズメの巣」とお年寄りにかまわれたものです。スズメの巣が間近だった大人たちは、機織鳥らしさをよく見ていたのでしょう。
 スズメの英語は"sparrow"。欧米でスズメというと、家雀(house sparrow)が一般的です。日本の雀は直訳すると木雀(tree sparrow)。鳴き声はかなり似ていて、いきなり聞かされて「どっちでしょう」と言われたら、ちょっと間違えそうな感じ。私の印象では、家雀の声のほうが心なしか細くて高いような気がします。
 チュンチュ・チュンチュ。私たちが録音していたとき、スズメは何を話していたのでしょう。
We are full and safe now.
 朝食が終わり、お天気も上々、おなかがいっぱいで、周りに危険もなく安全。いいね、いいね。
It's gonna be a hot day.
 きょうは暑くなりそうだね。
 "gonna"は、"going to"の口語表現。録音では私の発音がまずくて「E」と聞こえてしまっていますが、正確なつづりはこれです。
 子どもたちと話すときも、いまの子たちはスズメよりハトやカラスと先に出会っていることを頭に入れておいたほうが良さそう。
 さあ、みなさんの周りにはどんなところに、どのくらいのスズメたちが暮らしているでしょうか。

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